なぜ「フィンランドのキャリア教育」は素晴らしいのか?現地調査してきた

スクールカウンセラーが生徒と話す画像 フィンランド教育

フィンランドはなぜ、幸福度世界1位なのか?

理由の一つに「キャリア教育の質の高さ」があると考えています。
この国では幼少期から「個人」にフォーカスをあて、「その子にとって最適なキャリア」を模索し続ける仕組みがあるのです。

私は現在、フィンランドの小中学校で教員として働いています。そんな自分だからこそ語れる、「フィンランドキャリア教育」の面白い仕組みを4つに厳選して紹介します。

この記事を読めば、日本のキャリア教育をアップデートするヒントが得られるでしょう。

前提:キャリアを成功させるために必要なこと

本記事ではキャリアの成功=天職(自分の生まれつきの性質に合った職業)を見つけることと定義しております。

では、天職を見つけるためには何が必要なのでしょうか?

  • 自分自身について知る
  • 社会について知る

この二つが私の考える必要条件です。自分の内と外、両方を深く理解することで天職と出会える可能性は格段に上がります。

つまり、理想的なキャリア教育とは、「自分」と「社会」について深く知る機会を与える教育だと言えます。

自分自身について知る

まずは「自分自身について知る」こと。

  • 自分の強み・弱みは何なのか
  • どんな性格をしているか
  • どんな環境だと高いパフォーマンスを発揮できるのか
  • 夢中になって打ち込めるものは何か

これらの質問に即答できる学生は少ないです。
かくいう私も、「将来何をしたいのかわからない」ことに悩み、
結局、大学は「偏差値」で、就職活動は「会社のネームバリュー」で決めてしまった過去があります。

今思えば、これは自分と向き合う時間を確保できていなかったことが原因です。
一朝一夕で理解できるものでないからこそ、幼少期から「自分と向き合うための仕組み」が必要です。フィンランドではどのようにして「自分自身について知る」環境を作っているのでしょうか?

小学校の先生が6年間持ち上がり

まず面白いと思ったのが小学校の先生が6年間ずっと同じクラスを持ち続けることです。
各学年1クラスしかないので、クラス替えもありません。

先生は6年間同じ生徒を見るので、一人一人の個性に対する理解を深めることができます。

以下先生の言葉です。

先生
先生

何年間も同じ生徒を見ているからこそ、その子の
強みや特徴を深いレベルで理解することができます。
気づいたことは本人に伝えるだけでなく、保護者にも
伝えるようにしています。

小学生ですので、まだキャリアという視点はないかもしれませんが、若いうちに「自分自身」を正しく理解し、言語化してくれる存在がいることは、将来のキャリア選択に大きな影響を与えるのではないでしょうか。

中学校にスクールカウンセラー常駐

中学校にはスクールカウンセラーが最低1人常駐しており、毎週彼らとキャリア相談する時間が組み込まれています。
中学から担任制度は無くなりますが、今度は「自己理解促進」のプロと面談できる機会が与えられるのです。

学年面談回数
中学1年生1回/週
中学2年生1回/週
中学3年生2回/週
進学を控えた3年生は面談が週2回に増加

カウンセラーは質問を投げかけ、生徒の思考を深める壁打ち役になります。
以下、このシステムに対する生徒談と先生談です。

中1生徒
中1生徒

正直まだ、何をやりたいかわからないんだ。

ただ、カウンセラーと話していると、
自分の知らなかった一面に気づくことがある。
必要な時間だと思っている。

先生
先生

進路相談は基本的にカウンセラーに丸投げ。
高校や大学のことについて詳しくない僕より、
プロにやってもらった方が、より良いアドバイスが期待できるだろ?
生徒にとって有益だし、教員の仕事量も減るしでwin-winだよね。

生徒にとってためになるだけではなく、先生も恩恵を受けているのが印象的です。

社会について知る

「社会について知る」ことも天職を見つける上で欠かせません。

  • 世の中にはどのような職業があるのか
  • 仕事は具体的に何をするのか
  • どのような力が求めれるか

これらを理解するためには、「実際に働いてみる」ことが一番有効です。
フィンランドでは「社会について知る」ため以下のような仕組みがあります。

中学生からアルバイトが認められている

こちらに来てからショックを受けたこととして「中学生からアルバイトができる」ことがあげられます。休日や放課後の時間を使い、有給で働くことができるのです。

仕事内容は、「スーパーのレジ打ち」「スポーツコーチ」「清掃スタッフ」「販売員」など多岐に渡りますが、日本の大学生がやっているアルバイトに似ています。


「日本では勉強に集中するためアルバイト禁止」だった旨を伝えると

生徒
生徒

アルバイトだって、勉強になるよ!!

と、ぐうの音も出ないど正論をぶつけられました。

彼らにとっては「お金を稼ぐこと」が主目的かもしれませんが、早い段階で社会勉強をできるいい仕組みなのではないでしょうか。

手厚い職場体験

手厚い職場体験もフィンランド教育の大きな特徴です。
彼らは中学生になると、自分の興味のある職場で仕事をします。

日本との違いは、一回きりのイベントでなく、毎年行うという点です。

学年期間
中学1年生1日
中学2年生3日
中学3年生2週間
学年ごとの職場体験を行う期間

中には、海外の職場に働きに行く子や、親のつてで領事館で働く子もいるそう!!(うらやましい)

中学生のうちから、仕事を通じて社会勉強できるのはこの国ならではだと感じました。

まとめ〜なぜフィンランドのキャリア教育は素晴らしいのか

①担任が6年間かけて生徒の個性と向き合ってくれる

②スクールカウンセラーと共にキャリアについて向き合う時間が確保されている

③中学生から労働を通じて社会を知る機会がある

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