うわっ!ダマされた大賞2022〜欧州美人と急襲魔人

エッセイ

今日はファッションショーを前日に控えたリーハーサルの日。
本番さながらの髪型、メイク、衣装で練習に臨む。

第一ラウンド「ヘアセット」編でMIWAさん(この施設の首領)の前に、完敗した僕。
第二ラウンドは、「メイクアップ」だ。(「ヘアセット編」を読んでからの方が3倍楽しめます)

MIWAさんイメージ画像

人生において化粧など一度もしたことがなかったから、何だか新鮮。

担当は、別の女子学生ローニャに変更。
これは二つの理由から嬉しかった。

第一にMIWAさんの支配から逃れられたこと。
彼女にメイクを頼んだら、眼球までえぐられていたことだろう。

第二に、ローニャ、息を飲むほどの美人だ。それに小顔。
美人にメイクしてもらえるなんて、、、、

きっとこれは先ほどの拷問に耐え切ったご褒美だな。

ローニャを前にして、唐突に自分の毛穴やヒゲが気になり始める。
「剃り残しないかな」
今まで美容に無頓着だったくせに、調子のいいやつだ。

スキンケアやムダ毛処理に時間をかける世の中の女子の気持ちが少しわかった気がした。

ローニャは僕にいう。

「目をつむって、、、」(瞼の上を化粧したいから)

僕はドキッとする。
「もしかして、キスでもされるんじゃなかろうか」(そんなわけない)

思わずキモい妄想が頭をよぎる。(どうか引かないで欲しい。自分も文章を書きながら今ドン引きしている)

悟られたのだろうか、
最初は優しかった筆のタッチが、心なしか強くなっている気がする。

しばらく眼球の上をゴリゴリとなぞられて痛かった。
でも初メイクだから、
「もしかするとこれが標準の痛みなのかも、女子ってすごい!」
そんなことを考えて、自分を納得させる。

筆の動きが止まった。
どうやら終わったようだ。

僕はゆっくり目を開ける。
眩しい。ずっと闇の世界にいた僕にスタジオの光は刺激が強い。
ぼんやりとした視界が彩られ、ゆっくり焦点が定まる。

「!!!!」

走る激震
そこにいたのは、まさかのMIWAさん

入れ替わってる!!!

僕は叫び声こそ抑えたものの、
驚き過ぎて「ビクッ」と体が拒絶反応を起こしてしまった。

目の前に「ドッキリ大成功」の札が出されていても驚かないレベルでの衝撃だった。「ダマされた大賞2022」決定である。

ローニャはMIWAさんの後ろで小さく縮こまっている。
さてはこのおばさん、また学生の仕事奪いやがったな。

どうりでゴリゴリとまぶたが痛むわけだ。

おそるおそる鏡を見てみる。

髪はスーパーサイヤ人
メイクは青を基調としたポケモンのフリーザ。

そこに写っていたのは「アメリカ映画の悪役」だった。

これが、、、芸術、、、なのか?
僕は小首を傾げながら鏡越しの自分とにらめっこ。

奇妙と芸術は紙一重である。

僕は、自分のヘアセットとメイクにどこか自信が持てないまま、MIWAさんにお礼を言い、外に出る。

外に出ると通行人がチラチラとこちらをみる。
その視線が恥ずかしい。

こんなお顔じゃスーパーにも行けないじゃない。
アジアの大道芸人だって勘違いされちゃう。

何だか腹が立ってきた。
ふつふつとMIWAさんに対する怒りが生まれてくる。
あのおばさんやりやがったなと。

恥ずかしさと怒りの混じった、なんともブルーな気持ちで楽屋に向かう。
仲間たちが僕の元に寄ってくる。

「笑え、好きなだけ笑えよ、この奇抜なメイクを。」

しかし、仲間の反応は予想外のものだった。

「お前パンキーだな、最高にクールだぜ。」
「そのメイク似合っているよ」
「私もそのメイクが良かった〜」

奇想天外メイク、まさかの大好評。

僕は思わず有頂天に。

人間って単純。
褒められた瞬間、急に自信が湧いてくる。

「もっと俺のことを見てくれ」と、ひょっこり顔を出しはじめる「自我」

僕は他の参加者のもとに自分から駆け寄り、「どう?」と感想を求める(普通にうざい)

そうか、女子がよく言う「化粧をすると自信がつく」ってこういうことか。

MIWAさんがだんだん神様のように思えてきた。

MIWA様どうもありがとう。
あんたが1番や。

でも、明日はもっと優しくしてね。

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